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表題にある「辛卯」とは”かのとう、しんぼう”と読み、干支の一つ。 干支の組み合わせの28番目。辛卯の歳と言うと1831年、1891年、1951年などになる。ここでは1891年のこと。「歳晩」は”さいばん”と読み、年末のこと。本書が書かれたのは45年間続いた明治時代の24年のことなので、明治中期とだけ知っておきたい。ちなみに、辛卯は1891年で明治24年のはずだが、序文にある河野敏鎌・農商務大臣の推薦文には「明治二十五年」との表記がある。国会図書館デジタルライブラリー所蔵の本書は後の増刷版かもしれない。

何れにせよ、年代表記一つとっても難解である。更に中国では当時は王朝の時代で、順治帝の統治下にあるので順治〇〇年と使われる。本書ではこれが入り乱れる事になる。本書前書きに年号表記に関する注釈があるが、しっかり理解しようとするとこれだけにも多くの時間を割いてしまいそうなので、今回の研究の本筋ではないので省略する。

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弱肉強食の世界の中で、富ある所は強い国。強い国には富がある。我が国は東洋の一孤島。その土地は広くない。その民は多くはない。しかし、周囲を海で囲まれた利を持って世界に出て行けば、土地の狭いこと、民の少ないことなど憂う必要などない。(意訳)

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 しかし、それ(海に囲まれた地の利)も用いれば金となるが、そうでなければただの土である。今こそ通商に明るくならなくてはならない。ただし、事を成し遂げ、成功を見るためには歳月と工夫が必要である。ここに針路を示す。(意訳)

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本書は日清貿易に直接に必要になる事柄と、間接的に関係があり参照すべき事柄について収録した。我が国と最も利害関係のある清国の国情の大綱を知り、その過去・現在・未来を考察する資料にして欲しい。尚、軍事に関する事、現在の清王朝に関する事は貿易と関係が薄いため今回はこれを省く。必要に応じて別の報告書を持って補う。(意訳)
 

私は海外旅行に行った時に、スーパーマーケットで多くの時間を費やす。買い物が特別好きという訳ではないけれど、現地の人が行くスーパーに行くと、現地の人の生活が見えてくるようで楽しい。観光地に行くよりもむしろ楽しい。

当時の清王朝時代の中国を知るのも同じではないかなと思う。本書は清国との貿易に関する内容であり、第2編はその商品目録である。これを一つずつ読んでいくことで、清王朝を感じることができるのではないかと期待している。 

ちなみにこの序文は誰によるものかは明らかではないが、当時の日清貿易研究所の実質的な中心者の荒尾精と考えるのが妥当であろう。